手仕事を巡る、盛岡への旅

盛岡へ行ってきました。
手仕事、民藝を巡る旅です。
あたりまえのなかに、力強さと美しさがあってそれでいてほっとする、そんなモノや人と出会えました。

まずはじめに訪れたのは、「ひめくり」さん。

盛岡のいいモノ、人など魅力を発掘し、紹介する手づくりのミニコミ誌「てくり」がプロデュースするお店です。おしゃれなだけでなく実用的でちょっと他では見慣れない素敵な品々と出会えました。わたしが好きな、月光荘の文具も置いてありました。スケッチブックを購入。


手づくり村には、南部鉄器や藍染め、駄菓子や竹細工などの工房が集まっています。南部鉄器の製作工程をじっくりと見てきました。ここでは職人さんから直接話を聞くことができます。
鉄器を作る過程は分業です。日本の昔ながらの手仕事は分業が多いです。本体を作る人、持ち手を作る人、型を作る人、とそれぞれに専門の持ち場を持って作業しています。ひとつことに専念できるからこそ、洗練されたモノができるのですね。仕上げはやっぱり親方の仕事のようです。

薫山工房の先代が作られた南部鉄器です。長年愛用し続けているそうで、なんとも深みのあるつやと美しさがありました。これで入れたお茶は一体どんな味か気になります。



南部せんべい焼きに挑戦してみました。焼きたてはやっぱりおいしい!バターと香ばしいピーナツになごみました。



夜はふと立ち寄った酒屋さんでコップ酒を楽しみました。ありふれた酒屋さんと思いきや、お店の奥まったところに木肌むきだしの机がありそこで地元の方達がお酒を酌み交わしていました。さりげなく混ざってたわいもない話題にもりあがり、そんなことからふと町に魅力を感じました。


宿泊したのは創業50年になるという、熊々井旅館さんです。かつて、100軒あった旅館は新幹線が通るようになるとホテルにとって代わられ、いまや6軒となったそうです。さびしいことです。さらに、昨年の震災以降、お客さんがぐっと減ったそうです。
日本家屋の落ち着いた佇まいの旅館には本当に心も体も癒されます。なにより、おかみさんの気さくな笑顔とものごしにいっぺんにその場所が好きになりました。

朝食はたきたてのごはんと納豆、さんまのみりん干し、ホウレンソウの和え物、ひじきの煮もの、きのこのお味噌汁です。どれも味わい深くておいしかったです。
お隣に座った、復興支援ボランティアに来ていたフランス人の女性と話がはずみました。遠野を起点に活動されている、まごころネットさんを通して日本に来られているとのことで詳しく聞きました。わたしも折を見て参加しようと思っています。
http://tonomagokoro.net/


手仕事を巡る旅から、東北、日本を考える旅へ・・・


地道に作り続けられる、日用の器や染め物、手仕事の数々とそこに携わる人たちの真剣なまなざしと笑顔に触れながら、日本の素晴らしさをひしと感じました。

「どうしてこの仕事をしているんですか。」というわたしの問いかけに、南部鉄器を作るその道25年の職人さんが苦笑しながら一言。


「生活のためだよ。」


はっとしました。
あたりまえのことながら、ゆるぎなく、力強く、信じられないほど美しく聞こえたのです。


暮らしと仕事が重なる生き方は、日本人の本来のあり方なのではないかとそしてそれが一番自然なのではと感じたのでした。
また、盛岡を訪れたいと思います!