色づく大多喜〜館山

色づく千葉は房総半島へ行ってきました。
今年二回目の大多喜駅周辺は、しっとりと落ち着いたたたずまいの町並みが
変わらずにあってなんだかほっとしました。
『千葉の小江戸』と名うっているだけに、蔵づくりの家々が林立しています。
昔からの酒蔵に足をとめ、和菓子やさんでこぶしほどの最中を買って上機嫌になり、小さいけどあったかい幸せを感じました。
駅から離れ、西畑の奥までいくと景観がとたん、里山に変わります。

昼間の風はそよそよと気持ちよく、空気もおいしいです。
養老渓谷は今が紅葉の見ごろでした。

近くの老川小学校では地域交流イベントが開かれています。
地域の人たちだけでなく外からも人が集まり、いのししや鹿のから揚げが振舞われたり、会場は大賑わいでした。
ふるさとマップづくりへの取り組みや、都市と農村をつなぐ取り組み、人と人、自然がつくる鼓の”調(しらべ)"、すばらしい講演が続きました。
鴨川自然王国理事の林良樹さんの講演で、『これからは”モノ”ではなく、文化を輸出していく時代』という言葉にわくわくするような可能性を感じました。
鼓演奏には会場が宇宙になったかのような深遠な場になりました。
場のちから、季節、音、空気といったものがひとつになってハーモニーになっている、と演者の大倉正之助氏がおっしゃっていました。
日が落ちてくると、校庭に炊かれたキャンプファイヤーの火があかあかと燃えはじめました。
集まった人たちの表情がくっきりと映し出されて、なんだか距離感が近くなった気がします。
朗読の深い声と言葉に励まされ、Yaeさんの歌声に聞きほれました。
気がつけば、空には星ぼしがきらめいていました。

翌朝は青い空とさざめく海と光あふれる館山を巡りました。

昼間はびっくりするくらいのあたたかさになりました。
ダウンジャケットは入らず、これから夏になるのかな、と勘違いしてしまうくらいです。
町のどこからも海が近く、島といっていいくらいのムードがあります。

安房神社は入り口の白い大きな鳥居にまず圧倒されます。
奥へすすむと、まさに大銀杏が黄に色づき息をのむほどの美しさでした。
太陽の光が強いからこそのりんとした黄色なのかもしれません。

お昼にはブダイの漬け丼をいただきました。
シュノーケリングをする私としては、ブダイは巨大で顔が石造みたいに固くでっぷりしていて、
しかめっつらの魚という印象です。お店の人がおいしいというけど、どうかしらと思いながら食べました。
口に入れたら、透明な身は舌ほどもの厚みにこりっとした食感、肉厚なのに淡白な味わいに驚きました。
醤油がよくからんでおいしいのです。本当にお腹いっぱいになります。

館山のおとなり、南房総市にある三芳村にあるトロピカルフルーツや花を育てている『夢の花館』さんに赤子ほどの野生フクロウが滞在していました。はじめて野生のフクロウを見ましたが、目がビー玉のようにまんまるでした。その瞳が不思議なリズムでくるんくるんとまわるし、まぶたと思われる幕がときどき降りたり、感情がまったく読み取れなくて、私は対面したまま、どうしたらいいのかわからなくなってしまいました(笑)。
そして何度撮ってもカメラはちゃんとピントを合わせてくれません。
お店のおじさんは慣れたもので、自らの腕に小鳥のようにフクロウを止まらせてエサをあげていました。
不思議なことはフクロウばかりでなく、ハウスで栽培されているフルーツたちです。
からみつくように緑の腕を伸ばしたサボテン科のドラゴンフルーツ、頭上にはスターフルーツ、幹に直接実がなるジャボチカバ、食べたら味覚がしばらくかわって何でもおいしく食べられる魔法の実、と子供ならずも楽しくなってしまう場所でした。

東京の隣ながらなかなか行く機会がなかった房総半島でしたが、底知れない魅力を感じたのでした。まだまだわくわくするものがうまっているに違いない!とにらんでいます。また季節をかえて訪れてみたいです。