富山の薬売りに感動する

子供のころ、富山の薬やさんが家に定期的に来ていました。
家には薬箱というのがあって、けがをしたり風邪を引いたりして薬が必要なときはその箱から選んで使っていました。
その使ったぶんだけ、薬やさんが来たときに清算していました。
先行後利というしくみです。
この商売方法をはじめたのが、富山の薬売りです。


江戸時代から今もずっと続いている、富山の薬売りのことを知るべく、富山の薬関係の博物館などを訪れました。

昔は、薬売りが自ら漢方薬を作っていました。

材料を粉にして練って、錠剤にする工程は手間がかかるものの、まさに職人技です。色をつけて、他の薬と間違えないようになどの工夫もされていました。

薬だけでなく、薬を入れるパッケージもユニークで面白いものがたくさんあります。

字が読めない人でも絵をみたらわかるような工夫もあります。
薬の名前も、たとえば”風邪レコード”など、レコードが聴く(きく)ものだから、効く、と読み替えて名づけたり、考えられています。


薬売りは地域ごとに仲間組にわかれて、日本全国に売りに出ています。
家ごとに誰が何を買ったのか、どこが悪いのか、メモをとる懸場帳があります。その懸場帳が市場調査帳として大きな役目を果たしています。それを見たら、地域の特性から個人情報が把握できるのです。そのようなわけで、この懸場帳は高値で取引されたようです。この情報帳があるだけで、薬売りの仕事を引き継げるわけですし、どんな薬を用意していったらよかなど分析できるわけです。
貿易摩擦もうまく避け、競争も避け、地道に薬を売って今日にいたるのです。城下町では売らなかったようです。
う〜ん、賢い。


ちょっと富山の薬売りにあこがれをいだいてしまいました。
訪れた、売薬資料館ではただいま、薬商家の密田家の展示をしています。わたしが行ったときは平日だったせいか、お客さんはいませんでした。北陸新聞社さんが取材にこられていて、写真にうつりました(笑)。
マニアックなところについ出没してしまう私です。


おみやげに、池田屋安兵衛商店で消化薬の反魂丹(はんごんたん)を買いました。
富山の薬売りのきっかけとなった、当時の万能薬です。
さて、出番がこないことを祈りつつ、飲んでみたい気もしている年末年始です^^